失敗事例から学ぶインサイドセールスの回し方
営業活動の効率化や見込み客の育成などのためにインサイドセールスを導入する企業が増えていますが、「なかなかうまくいかない」という悩みを抱えている組織も少なくありません。
インサイドセールスの課題を解決して成功に導くために、失敗事例から成功のポイントを紐解きましょう。
何が原因?インサイドセールスの失敗例
インサイドセールスがうまくいかない要因として、8つの失敗事例をご紹介します。
インサイドセールスに特化した計画ができていない
ただ単に「訪問営業を減らす」「電話やメールでのアプローチを増やす」というだけでは成果にはつながりません。
まずは「どのような場合にインサイドセールスを活用するのか」「どの営業フェーズをインサイドセールスが担当するのか」「どのようなツールで営業活動をするのか」などを設計しましょう。
その際、インサイドセールス単体ではなく、組織の営業活動全体の設計図の中にインサイドセールスを組み込むようにしてください。ワークフローや役割分担が明確になるはずです。
また、KPIなどの目標も設定しておくことでPDCAサイクルもスムーズになります。
インサイドセールスに特化した教育ができていない
インサイドセールスの担当者は、フィールドセールス(訪問営業)とは違ったスキルが必要になります。
インサイドセールスは直接顧客と会って営業活動をするわけではないので、話し方や質問の仕方、ヒアリングの仕方など気を付けなければいけません。
また、オンラインツールを活用する場合はデジタルスキルも必要になるでしょう。
インサイドセールス担当者がそれらの営業スキルやデジタルスキルを獲得できていなければ、インサイドセールスはうまくいかない原因になってしまいます。
そのため、人材教育は定期的に行っていきましょう。
個人プレーばかりで方針や営業プロセスが標準化されていない
営業スタイルがインサイドセールス担当者個人に依存している(属人化している)ことも、インサイドセールスがうまくいかない要因のひとつ。
特にインサイドセールスとフィールドセールスが分業している場合、「どのように見込み客の確度を見極めるか」「どの条件なら引き渡すのか」「どのようにしてナーチャリング(育成)するのか」などが担当者ごとにバラバラだと、成果につながらないのは当然のことですよね。
顧客情報は一元管理し、営業プロセスやワークフローなどを標準化しておくことがポイントです。
目標レベルが高すぎる
ビジネスでは目標を立てて達成度を見ながら進めていきますが、達成不可能なレベルの目標を立ててしまうと、正確な効果測定ができません。
また目標レベルが高すぎると、担当者のモチベーションが下がり効率も悪くなります。
KPIなどの目標設定は最初から高いものにせず、進行状況などを見ながら調節していきましょう。
人員配置が適切でない
今いる人材でインサイドセールスを始めようとしたとき、フィールドセールスが得意な人材をインサイドセールスに配置しようと考えるかもしれませんが、必ずしもインサイドセールスの適性があるとは限りません。
先述の通り、インサイドセールスはフィールドセールスとは違ったスキルを必要とするため、人材を選定する場合はフィールドセールスとは異なる見方をする必要があります。
また顧客に対してだけでなく、社内の各部署とのコミュニケーションも必要とする役割なので、営業スキルやデジタルスキルだけでなく人柄や性格も注視しましょう。
せっかく得られた重要な情報が活用できていない
インサイドセールスを進めていると、営業組織や営業活動、顧客情報など、大変貴重な情報が蓄積されていきます。しかし、これらのデータを的確に活用しないと、効率的なインサイドセールスにはつながらず残念な結果となりかません。
さまざまなデータを多角的に分析することで見えてくる事実もあるため、得られた情報は部署間をまたいで共有し余すことなく活用しながら営業活動を組み立てていきましょう。
インサイドセールス、フィールドセールスの境界があいまい
インサイドセールスとフィールドセールスを分業する場合、どこからどこまでの業務を担当するのかをしっかりと区分けしておかないと現場が混乱してしまいます。
また、取引額や取引先の企業規模によってはインサイドセールスがクロージングまで行うという組織もあるかもしれませんが、その場合も明確に基準を定めておかなければ、インサイドセールスとフィールドセールスの間で対抗意識が生まれ失敗につながる恐れがあります。
相手の空気感が読み取れていない
インサイドセールスは顧客と直接顔を合わせて話すわけではないので、相手の表情や雰囲気をつかみとることが難しいという特性があります。そのため自分の営業トークばかりとなってしまい、結果的に相手に押し売りのように感じられてしまうことも少なくありません。
まずは顧客の課題や現状を知ってから提案しなければ顧客の心には響きません。会わなくても相手とコミュニケーションを取って関係を構築することから始めるようにしましょう。
インサイドセールスを成功させる為に必要な4つのポイント
インサイドセールスを成功させるために重要な4つのポイントをご紹介します。
見込み客にアプローチできる質の良いコンテンツを用意する
インサイドセールスは見込み客の温度感を計測して確度を見極めることが重要ですが、その計測のためにコンテンツを充実させることは欠かせません。
「この記事を読んだ人は1ポイント」「ホワイトペーパーをダウンロードした人は5ポイント」「デモ動画を見た人は5ポイント」「資料請求をした人は10ポイント」など、スコアリングの基準にすることができるため、さまざまなコンテンツを用意しておくことが大切です。
また、こまめに情報を発信することで見込み客の購買意識を高めたり信頼関係の構築にもつながりますので、オウンドメディアやメールマーケティングなどを使った質の高いコンテンツを定期的に発信していくことも効果的です。
マーケティング戦略を共有し、無駄のない業務プロセスを設計する
見込み客を獲得するための施策を打つマーケティングと、実際の営業活動を行うセールス(インサイドセールス/フィールドセールス)がしっかり連動しなければ営業の効率化にはつながりません。
またマーケティングが獲得した見込み客をインサイドセールスへ引き渡し、育成を行ってフィールドセールスへ引き継ぐというフローがスピーディでなければ、見込み客の購買意欲は減退してしまいます。
スムーズな連携のための業務プロセスを設計しましょう。
見込み客獲得のための活動はすべての基盤
見込み客(リード)がいなければ、インサイドセールスを完璧に設計しても机上の空論になってしまいます。どれだけインサイドセールスがうまくいったとしても、見込み客の獲得には力を抜かずに、常に獲得し続けることが重要です。
そのためにはオンラインコンテンツだけでなく、展示会やセミナー、郵送DMなどのオフライン施策も積極的に打ち出して見込み客を獲得していきましょう。
MA/SFA/CRMといったデジタルツールを活用する
効率的に業務を行い、情報を一元管理するためにはデジタルツールの活用が欠かせません。
見込み客の獲得や育成にはMAツール、営業活動や顧客の情報を管理するのはSFAやCRMが適しています。また、これらのツール同士を連携させることで更なる効率化が図れるため、ツール選定の際は連携できるかどうかも注目してください。
まとめ
インサイドセールスはうまく機能すれば大きな成果が期待できます。
「流行しているから導入してみた」というのでは失敗してしまう可能性が高いため、まずは全体像を設計して計画的に導入しましょう。今回ご紹介した成功のポイントを参考に、自社のインサイドセールスを設計してみてくださいね。