セールスエンジニアの適性 こんな人は向いている
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進・次世代通信方式5Gの開始と、今後の人々の生活や社会活動にIT技術はますます欠かせないものとなっています。そんななかデジタルを活用した商材・サービスの普及に重要な役割を担う存在が「セールスエンジニア」です。
セールスエンジニアはIT技術と人をつなげる立場にあり、エンジニアの知識と営業スキルの両方が必要な職種ですが、その適性はどのように考えられているのでしょうか。
必要なスキルや未経験者のケースまで詳しく紹介するので、これからサービスエンジニアを目指す方にはもちろん、サービスエンジニアを採用・育成していくという方にも役立ちますよ。
セールスエンジニアに向き不向きはある?
セールスエンジニアは「エンジニア」が名称に含まれていることから、技術職なのかと誤解されることもありますが、実際の業務は営業職に近いものです。セールスエンジニアの適性や向き不向きも営業職と同様にとらえてよいでしょう。
しかし、セールスエンジニアならではの働き方や必要不可欠な知識などもあるので、「営業ができるからセールスエンジニアもできる」などと軽く考えては、ミスマッチが起こる原因となってしまいます。
セールスエンジニアに向いている人の条件
セールスエンジニアに向いている人の条件について、実際の業務との関連性から掘り下げてみましょう。営業職と技術職の両面を持つセールスエンジニアの適性は、ヒューマンスキルと学ぶ姿勢に大別されます。
人とのコミュニケーションが好きな人
セールスエンジニアは商談の場において、「よりよいもの」「お客さまの事業に貢献するもの」を提案するのが主な業務です。そのためには商材ありきで説明するのではなく、お客さまが抱えている課題や可視化されていないニーズを明らかにするようなヒアリングが大切になります。
人との対話が好き、コミュニケーションが楽しくできる、人間観察力に優れているといった人が向いているといえるでしょう。
勉強を長く続けられる人・人との関係を長く保てる人
セールスエンジニアは一般的な営業マンをサポートし、技術の専門家として提言やアドバイスを行います。必要な知識はテクノロジーの発展とともに増え続け、「これだけ知っていれば大丈夫」というものではありません。
先端技術や世界基準のIT知識、業界トレンド、IT系の資格取得など、勉強する分野も多岐にわたるので、知識欲が強く学ぶことが好きだという人が向いています。
また、セールスエンジニアの業務は契約・導入後も続きます。導入サポートや運用研修、日々のトラブル相談などお客さま企業との付き合いは長いものとなるでしょう。複数の担当企業を抱えながらも担当者と定期的に連絡を取り、関係を良好に保つことのできる「マメな人」であることがポイントです。
新しいことに興味が持てる人
セールスエンジニアは扱う商材・サービスの専門家であることが求められます。IT業界では技術革新や法令の見直しなどによって従来の常識が短期間で古い知識となってしまうことが往々にして起こりますが、そのようなときにも柔軟に対応できるマインドを持っていれば強みとなるでしょう。
最新テクノロジーなどにも興味を持って貪欲に吸収しておけば、お客さまへの提案に大切な発想力につながります。
アクティブに動ける人
セールスエンジニアの業務は資料作成や報告書作成などの書類仕事もある程度はありますが、メインとなり売上につながる業務は客先訪問です。複数の担当企業を持ち、お客さまの要望に応じて各地を飛び回るということが多くあるでしょう。
また、アフターフォローやトラブルシューティングの場面ではシステムに影響が出ないような深夜帯や早朝に対応せざるを得ないこともあり、時間・場所ともにアクティブに動ける人でないと苦痛を感じることがあるかもしれません。
適性だけでは差がつかない スキルで採用可能性を上がる
適性のない人はセールスエンジニアになれないのでしょうか。セールスエンジニアに必要なスキルを磨けば適性はあとからついてくるものです。セールスエンジニアとして業務にあたる際に役立つスキルを想定して努力してみましょう。
資格を取ること
「IT系の情報に興味があります」「専門誌を読むのが好きです」といったアピールは誰にでもできます。その知識の客観的評価となる資格を取得しておきましょう。
情報処理推進機構では、エントリーレベルのITパスポートから国家資格として誇れる「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」まで、さまざまな知識レベルと技術力を測れる資格を認定しています。オラクルマスターやCISCOアソシエイトレベルなど、取り扱い製品に関連度の高いベンダー系の資格もおすすめです。
交渉・折衝のスキルをプロジェクト経験で上げる
自分には交渉力・折衝力がないと感じている方もいるかもしれません。しかし、交渉術は経験によって身につけることができます。
すべての商談・部署間の折衝は「駆け引きなのだ」と自覚して、戦略的思考でもって事前準備を行いましょう。プロジェクト内で交渉力に長けている人がいれば、その手法の分析をすることも経験値を上げる近道となります。
プレゼンスキルをセミナー・本で上げる
お客さまへのプレゼンテーションは契約の成否に直結するシーンでもあるため、経験のない人にチャンスがめぐってくることはなかなかありません。「そろそろやってみるか」と水を向けられるのを待つだけでなく、疑似的にプレゼン体験のできるセミナーやビジネス本などで積極的に学び、自分なりのプレゼンスキルを上げておきましょう。
適性が足りない・未経験でもセールスエンジニアになりたい! 対策してみよう
自己分析で「適性が足りない」「経験がない」と感じていても「セールスエンジニアになりたい」という気持ちがあるのなら、あきらめずにひとつひとつ対策を練ってみましょう。
そもそも「なりたい」という気持ちがある時点で、適性のハードルをひとつクリアしているとも考えられますよ。
適性は長期間見ないと実はわからない
学生時代のうちに「学ぶことが好き」「人との関わりが好き」という特性を持っていても、社会人になってからも変わらずにいられるかどうかは不確かなものです。試験や資格取得に向けて集中して勉強することはできても、日々の業務を遂行しながら知識欲を保ち続けることはむずかしく、利害関係のない友人との交流に比べ、予算交渉や苦情処理などの対応はまったく異なるものだと感じるでしょう。
今現在の自分に悲観したり満足したりすることなく、目標を持って努力し続けることがセールスエンジニアとして大成するポイントとなります。
若手なら仕事内容に「絶対にNG」がなければチャレンジしてみてよい
これまでの「セールスエンジニアの業務内容」に、「これは自分にはできない」と本能的に拒絶するような部分はなかったでしょうか。「IT技術の知識で人の役に立つ」というセールスエンジニアの本分に魅力を感じるのなら、若いうちにぜひチャレンジしてみましょう。
セールスエンジニアを目指すことは技術力・営業力の両面を磨くことになるので、たとえ職を得ることが叶わなくとも努力が無駄になることはありません。
未経験でもセールスエンジニアに役立つ経験をアピール
セールスエンジニアの求人には「エンジニア経験〇年」「営業経験者」などの条件が付されているケースが多くあります。たとえどちらの職種も未経験だとしても、これまでの経験や学びをアピールすればチャンスがないわけではありません。
「複数人の意見をまとめて業務をスムーズに遂行した」「プログラミングが趣味でオープンソースのブログを持っている」などセールスエンジニアに関連しそうなエピソードを棚卸ししておきましょう。
セールスエンジニアの絶対的な適性はない スキルをつけてチャレンジを
セールスエンジニアの業務は、プロジェクトの川上からお客さまとの継続的な関係構築まで多岐にわたります。その点では絶対的な適性や資格といったものは明文化されておらず、興味があれば誰にでも挑戦できる職種だといえます。
IT技術の普及に貢献し、人々の生活をよりよくする事業に関われるセールスエンジニアという仕事に魅力を感じているのなら、スキルを磨いてぜひ挑戦してみましょう。